[サンフランシスコ 6日 ロイター] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(IPO-ALIB.N: 株価, 企業情報, レポート)は6日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請した。米IPOでの調達額は150億ドルを超えると予想され、2012年に上場した米フェイスブック(FB.O: 株価, 企業情報, レポート)の160億ドルも上回り、ハイテク関連企業として過去最大のIPOとなる可能性がある。
アリババは、15年前に杭州のアパートで設立された。パートナーシップと呼ばれる28人が経営を采配し、中国の電子商取引の80%を握る。米ヤフー(YHOO.O: 株価, 企業情報, レポート)が22.6%、ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)が34.4%それぞれ出資し、アリババの共同創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は8.9%を保有する。
アリババがSECに提出した資料によると、IPO関連手数料を算定するためはじき出したIPOの規模は10億ドル。上場先はニューヨーク証券取引所か、あるいはナスダック市場か検討中としてる。
1株当たりの公正価値は1株=50ドルに達する可能性があると予想した。公正価値は従業員の株式報酬を算定するための価額で、想定売り出し価格ではないが、これに基づくと、ヤフーが保有株の価値は262億ドル、ソフトバンクの持ち分はほぼ400億ドルとなる。
IPOで、ヤフーは保有株の約40%を売り出すか、IPO前にアリババに直接売却する必要がある。
また、アリババ、ヤフー、ソフトバンクの合意に基づき、上場に伴い、ヤフーのジャクリーン・リセス最高開発責任者(CDO)がアリババの取締役を退任する。9人体制となる新たな取締役会メンバー選任にあたっては、パートナーが過半数を指名する権利を有し、ソフトバンクは1人だけ指名できる。
IPO引受業務は、クレディスイス、ドイツ銀行、米ゴールドマン・サックス、JPモルガン、モルガン・スタンレー、シティグループが担う。
アリババは、米国の消費者の間では知名度でアマゾン・ドットコム(AMZN.O: 株価, 企業情報, レポート)などに劣るが、かねてよりウォール街ではハイテク企業ではフェイスブック以来の大型IPOになると期待されていた。中国企業の米国上場としても最大規模になる。 米株市場ではここ数週間、アマゾンやツイッター(TWTR.N: 株価, 企業情報, レポート)といった有力銘柄が高値警戒感から売られているが、アリババの時価総額の予想は最近数カ月にうなぎ上りに上昇し、2000億ドル超との声も出ている。
<中国での取り扱い額、アマゾンとイーベイの合計超える>
アリババは、クラウドコンピューティングやメッセージサービスも手掛けるが、収入の80%以上はタオバオ(淘宝)など3つの電子商取引サイトが稼ぎ出している。2013年時点の中国のアクティブユーザーが2億3100万人、取引取扱額は1兆5000億元(約2480億ドル)以上と、アマゾンとイーベイ(EBAY.O: 株価, 企業情報, レポート)を合計した金額を上回った。
マッキンゼー・グローバル・インスティチュートの最近の分析によると、中国のネット小売売上高は、2020年までに4200億─6500億ドルに達する見通し。米国、日本、英国、ドイツ、フランスの5カ国を合算した規模になるという。レコン・アナリティクスの首席アナリスト、ロジャー・エントナー氏は、アリババが中国でのパワーを国外でも振るうことができれば、かつてアマゾンに期待されていた、真のグローバルな電子商取引企業になることも可能との見方を示す。だが、ハイペースな売り上げの伸びは維持できず、今後、市場シェアは縮小していく(フォレスターのアナリスト、ケランド・ウィリス氏)と指摘するアナリストもいる。
アリババは、携帯端末を通じたネット購入を次の成長分野と位置付けている。モバイル購入が全体に占める割合は2013年10─12月期に20%と、前年同期の7.4%から拡大した。ただ、アリババは、モバイル購入は、収益性でパソコンでの購入に劣るとしている。SECに提出した資料では、米電子商取引市場向けの計画に言及していない。アナリストは、大々的な物流網を駆使して消費者に商品を直接販売するアマゾンのようなビジネスモデルはとらないとみている。
0 件のコメント:
コメントを投稿