2014年6月15日日曜日

株価予測にビッグデータ ネットのつぶやき分析 売買注文から終値算出

株価の予測は可能なのか-。この難題を、インターネットなどで集めた膨大な情報を分析する「ビッグデータ」を活用して解きほぐそうという試みが始まってい る。NTTデータは短文投稿サイト「ツイッター」のつぶやきから株式市場のムードの変化をとらえる指標を開発。ネット証券大手のカブドットコム証券も「リ アルタイム株価予測」というサービスを始めている。高度情報化時代の先端技術は、投資のあり方を根底から変える可能性を秘めている。(高橋寛次)

 ■NTTデータ

 米ツイッターと契約しているNTTデータは、日本語での全投稿を活用できる。同社は、過去3年分の数百億件の投稿から、日経平均株価採用銘柄の社名や略 称、「日経平均」「市場」などの言葉が含まれるつぶやきを抽出。その中から、ポジティブまたはネガティブな言葉が含まれているつぶやきの数をみた。

 例えば「日経平均でもうかった」「今の株式市場はひどい」などを対象とした。

 その結果、全体に占めるネガティブなつぶやきの比率の増減などが、投資家が見込む株価の変動の大きさを示す指数「日経平均ボラティリティー・インデックス」と相関性が高いことが認められた。

 指標を共同開発したNTTデータ数理システムの鍋谷昴一主任研究員は「つぶやきの数を詳しく見ていくことで、株価を下げる出来事があったときにその余韻の大きさなどをみる手がかりになり得る」と説明する。

 機関投資家が株価動向を予測するに当たり、この要素を加えて精度を高めることが期待されるほか、金融機関などに顧客の個人投資家に提供する情報の一つと して活用してもらうことが想定される。同社は「市場関係者から意見を聴いて、提供するサービスの形態を検討している」(ソーシャルビジネス推進室の佐藤勇 一郎課長)とし、3年後に100億円規模の事業に育てたい考えだ。

 ■カブドットコム

 一方、カブドットコムは約2年前からリアルタイム株価予測を提供している。予測に用いるデータは、証券各社が東京証券取引所と契約して取得している株式の全売買注文情報。東証によると1日の注文数は2千万~2500万件程度。

 このサービスの特徴は、「仮想で売買注文をつき合わせて、瞬時に計算する技術」(システム部の中沢康至課長代理)だ。例えば、取引開始前には、その時点 での売買注文から、各銘柄の開始時の予想価格を算出し、その日、売買が増えそうな銘柄や業種が抽出できる。取引終了間際にもその時点での終値の予想価格が 表示されるため、残り時間の相場の流れをつかみやすくなるという。ただ、注文が次々と入ることで予想価格も変わっていくため、特に売買量の少ない銘柄で当 初の予想から乖離(かいり)していく可能性はある。

 海外では、株価水準などに応じてコンピューターが自動的に売買注文を出す機関投資家のアルゴリズム取引で、すでにネット上の情報などが応用されているという。今後、ビッグデータによる株価予測の精度が向上するかが注目される。

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