●ウェアラブルデバイスが注目される理由とは
身に着けて使用し、さまざまな用途に活用できるIT機器、ウェアラブルデバイス。近年大きな注目を集めており、人気が高まりつつあるようだ。
なぜ、ウェアラブルデバイスは注目を集めるようになったのか。1つ目の理由はハードウエアの進化だ。まず、身に着けていても違和感のない現実的なサイズ にまで、機器を小型化できるようになったこと。センサー技術の発達により、動きや傾き、音などさまざまな要素に反応した操作ができるようになったことも大 きい。
2つ目の理由は、ウェアラブルデバイスの機能を補う機器、すなわちスマートフォンが広く普及したことだ。いくら技術が大幅に進んだといっても、サイズの 制約から、ウェアラブルデバイス単体でできることにはまだ限界がある。そこでより機能が豊富なスマートフォンと連携することで、単体では実現できない多彩 な機能が利用できるようになったのだ。またスマートフォンと連携する上で、「Bluetooth Low Energy」のように、低消費電力で無線通信ができる仕組みができたことも、ウェアラブルデバイスの広がりに大きく貢献したといえる。
そして、3つ目の理由は、そのスマートフォン自体の機能が飽和してきたことだ。すでに初代iPhoneが登場してから7年近く経過していることから、機 能的な目新しさも失われ、スマートフォンの進化が停滞してきたといわれている。そうした中、次の新しさを求める人達が、ウェアラブルデバイスに注目するよ うになったわけだ。
ウェアラブルデバイスといっても、その幅は広い。多くの人は腕時計型や眼鏡型のデバイスを想像することだろう。実際に注目を集めるデバイスも、そうした 形状のものが多いようだ。腕時計型デバイスとしてはソニーの「SmartWatch」シリーズやサムスン電子の「Gear」シリーズが市場に投入されてい る。一方、眼鏡型デバイスとしては一般には未発売ではあるものの、グーグルの「Google Glass」が人気となっている。
●グーグルも「スマート腕時計」へ力を入れる
各社は、ウェアラブルデバイスの開発を積極的に進めている。中でも最近、大きな動きとして注目されたのが、米国時間の2014年6月25日に開催された グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」で発表された「Android Wear」だ。これは、腕時計型などウェアラブルデバイスに向けたAndroidプラットフォームである。
従来、汎用的なウェアラブルデバイス向けのOSがあまり存在しなかったことから、各社は、独自のOSを搭載したり、Androidをカスタマイズしたも のを搭載したりするなどして対応していた。だがスマートフォン向けOSで高いシェアを持つグーグルがAndroid Wearを提供したことで、メーカーがAndroidスマートフォンと連携したウェアラブルデバイスを開発しやすくなった。
実際、すでにLGエレクトロニクスの「G Watch」と、サムスン電子の「Gear Live」の2機種が市場に投入されており、日本でもGoogle Playを通じて購入できる。今後もAndroid Wearを搭載した機器が多く登場すると考えられ、そのバリエーションが大きく広がることが期待されている。
また、提供されているウェアラブルデバイスを有効に利活用するための取り組みも、積極的に進められている。5月26日には、総務省中国総合通信局と山 陰・山陽スマート観光プロジェクト推進協議会が、Google Glassを活用してAR(=Augmented Reality 拡張現実)を用いた観光案内の実証実験を実施した。具体的には、ソフトバンクモバイルが開発した「ふらっと案内 for Google Glass」を用い、広島の原爆ドーム周辺の観光情報をGoogle Glass上で表示して道案内を行った。
各社は、ウェアラブルデバイスの開発を積極的に進めている。中でも最近、大きな動きとして注目されたのが、米国時間の2014年6月25日に開催された グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」で発表された「Android Wear」だ。これは、腕時計型などウェアラブルデバイスに向けたAndroidプラットフォームである。
従来、汎用的なウェアラブルデバイス向けのOSがあまり存在しなかったことから、各社は、独自のOSを搭載したり、Androidをカスタマイズしたも のを搭載したりするなどして対応していた。だがスマートフォン向けOSで高いシェアを持つグーグルがAndroid Wearを提供したことで、メーカーがAndroidスマートフォンと連携したウェアラブルデバイスを開発しやすくなった。
実際、すでにLGエレクトロニクスの「G Watch」と、サムスン電子の「Gear Live」の2機種が市場に投入されており、日本でもGoogle Playを通じて購入できる。今後もAndroid Wearを搭載した機器が多く登場すると考えられ、そのバリエーションが大きく広がることが期待されている。
また、提供されているウェアラブルデバイスを有効に利活用するための取り組みも、積極的に進められている。5月26日には、総務省中国総合通信局と山 陰・山陽スマート観光プロジェクト推進協議会が、Google Glassを活用してAR(=Augmented Reality 拡張現実)を用いた観光案内の実証実験を実施した。具体的には、ソフトバンクモバイルが開発した「ふらっと案内 for Google Glass」を用い、広島の原爆ドーム周辺の観光情報をGoogle Glass上で表示して道案内を行った。
●課題が山積、「盗撮」の懸念も
このように、開発や活用に向けた動きが活発化しており、注目度が増しているウェアラブルデバイス。しかし、一方で実際に市場に登場した商品が人気を博しているかというと、必ずしもそうではないというのが現状だ。
その理由としては、まず、ウェアラブルデバイスを利用することによるユーザーメリットがまだ明確ではないことが挙げられる。例えば、腕時計型デバイスに 多い、メールの新着などスマートフォン上の最新情報が、素早くチェックできるという機能。これは、使ってみれば確かに便利ではあるものの、高価なデバイス を購入してまで実現したいかと言われると、そうではないと感じる人の方が多いのが現実だろう。
そして、もう1つは、既存のデバイスと比べてデメリットがまだまだ大きいことだ。例えば、腕時計型デバイスの場合、バッテリーで数日は動作するものの、 1つの電池で数カ月~数年は動作する通常の腕時計と比べると、こまめに充電しなければならない不便さがある。また現在は機能面での取り組みが優先されてい るため、デザイン性に乏しいという声も少なからずある。
眼鏡型デバイスは、開発中のものが多いだけに、いっそう課題は多い。例えば先の広島における実証実験においても、実験中にGoogle Glassのバッテリーが切れてしまい、利用できないというケースが発生していた。また体験者からは、「Google Glassの表示位置がやや上になりがちで、表示を見るには、目線を上げる必要があり、そちらに気を取られて足元が見えなくなる」という声も出ていた。
そしてもう1つ、ウェアラブルデバイスにおける倫理面での議論がまだ進んでいない点も、気になるところだ。例えば、一部の時計型デバイスには、カメラ機 能が搭載されていることから、盗撮を懸念する声も上がっていた。また眼鏡型デバイスにおいても、目の前にいる人の顔を認識し、個人情報を取得する仕組みの 実現が不可能ではないことから、社会的影響に関する議論が求められるところだろう。
ウェアラブルデバイスは話題性が高い一方で、市場的には、ようやく立ち上がったばかりという状況だ。ハードウエア、ソフトウエアの両面でまだまだクリア するべき課題が多い。それだけに、多くの人が日常的に利用する存在になるためには、まだ長い時間がかかる可能性が高いのではないかと筆者は感じている。
このように、開発や活用に向けた動きが活発化しており、注目度が増しているウェアラブルデバイス。しかし、一方で実際に市場に登場した商品が人気を博しているかというと、必ずしもそうではないというのが現状だ。
その理由としては、まず、ウェアラブルデバイスを利用することによるユーザーメリットがまだ明確ではないことが挙げられる。例えば、腕時計型デバイスに 多い、メールの新着などスマートフォン上の最新情報が、素早くチェックできるという機能。これは、使ってみれば確かに便利ではあるものの、高価なデバイス を購入してまで実現したいかと言われると、そうではないと感じる人の方が多いのが現実だろう。
そして、もう1つは、既存のデバイスと比べてデメリットがまだまだ大きいことだ。例えば、腕時計型デバイスの場合、バッテリーで数日は動作するものの、 1つの電池で数カ月~数年は動作する通常の腕時計と比べると、こまめに充電しなければならない不便さがある。また現在は機能面での取り組みが優先されてい るため、デザイン性に乏しいという声も少なからずある。
眼鏡型デバイスは、開発中のものが多いだけに、いっそう課題は多い。例えば先の広島における実証実験においても、実験中にGoogle Glassのバッテリーが切れてしまい、利用できないというケースが発生していた。また体験者からは、「Google Glassの表示位置がやや上になりがちで、表示を見るには、目線を上げる必要があり、そちらに気を取られて足元が見えなくなる」という声も出ていた。
そしてもう1つ、ウェアラブルデバイスにおける倫理面での議論がまだ進んでいない点も、気になるところだ。例えば、一部の時計型デバイスには、カメラ機 能が搭載されていることから、盗撮を懸念する声も上がっていた。また眼鏡型デバイスにおいても、目の前にいる人の顔を認識し、個人情報を取得する仕組みの 実現が不可能ではないことから、社会的影響に関する議論が求められるところだろう。
ウェアラブルデバイスは話題性が高い一方で、市場的には、ようやく立ち上がったばかりという状況だ。ハードウエア、ソフトウエアの両面でまだまだクリア するべき課題が多い。それだけに、多くの人が日常的に利用する存在になるためには、まだ長い時間がかかる可能性が高いのではないかと筆者は感じている。
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