2014年7月21日月曜日

ツイッター「bot」で歌詞をつぶやくのはOK? NG? 弁護士に聞いた“権利の侵害”の境界線

ツイッターを利用している人は、bot(ボット)というものをご存じだろうか? 

 botとは“ロボット(Robot)”に由来し、本来人間がやるべき操作を自動的にやってくれるシステム・プログラムのこと。

  もっぱらツイッター上でのbotは「ツイート内容をあらかじめ複数登録しておくと、それを一定の間隔でフォロワーに対してつぶやいてくれる機能」を意味す る。楽曲の歌詞、アニメ・漫画のセリフ、偉人の名言、画像、トリビア――さまざまなジャンルのbotがあり、人気のbotアカウントはフォロワー数が数万 におよぶことも珍しくない。

 ところで、botがつぶやく内容には、読んでいて「これって権利者から文句が来たりしないの? 」と気にな るものもある。J-POPの歌詞や映像コンテンツのセリフなどを不特定多数に対してつぶやき続けることは、場合によってはグレーゾーンな気がするのだ。今 回はそのあたりを法律のプロ、アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士に聞いてみた。

 botがつぶやくジャンルとして、代表的なところを以下のように分類した。

 [A]歌詞をつぶやく
[B]アニメ・漫画・ドラマ・小説などのセリフをつぶやく
[C]有名人の発言をつぶやく
[D]一般的に知られている雑学をつぶやく

 さくら弁護士によれば「厳密には、もちろん内容にもよりますが、基本的に[A]と[B]はダメですね。ただし現実に訴えられたり逮捕されたりするかといえばまた別の問題になります」という。

  まず[D]のつぶやき、たとえば「猫の睡眠時間は1日およそ14時間」「薄口しょうゆの方が濃口しょうゆより塩分が多い」のように、一般に知られているト リビアをbotがつぶやくのはOK。保護されるべき著作物というのは、“創作的な表現”でなければならないが、これは単なる“情報”であり、著作物とはい えないそうだ。

 次に、[A]~[C]を扱うbotが“権利の侵害”になるかどうかは「独創性の有無」「引用する長さ(割合)」が判断のポイントだという。

「あんたバカァ? 」とつぶやくのはアウト? セーフ? 

  たとえばアニメをよく見る人なら「あんたバカァ? 」というフレーズが、某キャラクターの有名なセリフだと知っているだろう。しかしこれをつぶやいたから といって即座にアウトというわけではない。独創性がないし、そもそもこんな短い言葉まで厳しく締め付けていたら何も発言できなくなる。

  「ただ、たとえばbotがひとつの作品のセリフを流し続けて、つぶやきを全体として見たら、元の作品の独創性であることがわかる場合には、権利の侵害とな ります。また、他人の作品をそれとわかるように引用することは許されていますが、あくまでも自分の表現を主、他人の表現を従とするような関係でなければな らないので、botで他人の表現だけを延々流し続けるようでは引用とはいえません。」(さくら弁護士)

 なお、歌詞についてもアニメや漫 画のセリフと同じ考え方が適用されるが「楽曲を管理する団体があるので少し厳しくなるかもしれませんね」と、さくら弁護士は話す。実際、日本音楽著作権協 会(JASRAC)は2012年に“個人ブログなどにおける歌詞掲載利用の許諾”のガイドラインを発表しているが、許諾の範囲は限定的、しかも難解であ る。botで繰り返し歌詞をつぶやき続けることが大丈夫かどうかといえば非常にあやしい。

 [C]で、ナポレオンや福沢諭吉といった歴史 的偉人の名言をbotがつぶやくことについては、著作者が死亡してから50年で著作権は消滅するため、セーフ。別のケースとして、タレントがテレビ番組で 発したトーク内容を“○○発言集bot”のような形でbot化しているものもある。さくら弁護士によると「著作物として保護されるのは、創作的な表現で文 芸や学術の範囲に属するものなので、テレビ番組で話した内容はそのタレントの著作物にあたらないものが多いでしょう。」という。

 ここま でプロの法律家に話を聞いてきて、botでの権利侵害は“意外に判断が緩やかだけど100%大丈夫とは言い切れない”、なかなか難しい部分を多く含むよう に感じられた。最近はbotを気軽に作れる無料サービスも充実しており、自分がフォローする側だけでなく、bot運営者になれるハードルは下がってきた。 もし好きなアーティストがいたりお気に入りのアニメを広く知ってもらいたいと思ったりしても、botを作る時は“一般的なファン活動の範囲”でとどめてお くよう心がけたい。

 島田さくらさん
弁護士法人アディーレ法律事務所 所属弁護士(東京弁護士会所属)

 自身の 過去のオトコ運の無さからくる経験(元カレからのDVや、妊娠が発覚した翌日にカレから別れを告げられたこと)をもとに悩める女性の強い味方として男女ト ラブル、さらには労働問題などを得意分野として多く扱う。シングルマザー弁護士として、相談者の悩みを解決するかたわら、家庭では子育てに奮闘している。

0 件のコメント:

コメントを投稿