2014年7月6日日曜日

総務省がSIMロック解除を義務化へ ── 各種割引制度はどうなる?


 総務省は、携帯キャリアが施している「SIMロック」の解除について、2015年度を目処に義務づける方針を明らかにしました。SIMロックおよびその解除とはどういうことなのか、義務化されるとなにが変わるのかなどについて見ていきましょう。
囲い込みの抑制と市場競争の活性化に向けてSIMロック解除を義務化
日本で市販されている大半の携帯電話やスマートフォンには、携帯キャリアによって「SIMロック」と呼ばれる制限がかけられています。端末を利用するには 固有のID番号を付与した「SIMカード」を挿す必要がありますが、SIMロックとはこのSIMカードを他キャリアの端末に挿しても使えないようにする制 限のことです。

 日本では製造メーカーからキャリアが端末を買い取って販売する方式を採用しており、時には代理店へインセンティブを支払って端末の値下げを行います。し かし、低価格で購入して別のキャリアで使われてしまうと意味がないため、ユーザーを囲い込む意味でもSIMロックが施されてきました。

 そして今回、6月30日に開催された総務省「ICTサービス安心・安全研究会」の「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第7回)」において、 携帯キャリアに対するSIMロック解除の義務づけが指摘されました。この背景として「中間取りまとめ(案) (http://www.soumu.go.jp/main_content/000300649.pdf)」では、現在のモバイル通信市場は主要事業者 が3グループに集約され、既存利用者の取り合いや囲い込みの競争ばかりが激しく、協調的寡占の色彩が強いという現状が挙げられています。

 そんな中、SIMロック端末は通信サービス契約終了後の用途が著しく限られたり、海外渡航時に現地のSIMと差し替えて使えないため利用者の自由な選択 を妨げ、利便性を損なっていると指摘。他キャリアへ乗り換える際に新端末を購入する必要が生じることから、スイッチングコストが押し上げられて競争を阻害 する要因となる、新規顧客獲得時における多額のキャッシュバックの一因にもなっている、といった意見もあります。

 また利用者に対して、端末の割賦代金支払額に相当する月額通信料金の割引や多額のキャッシュバックが提供されていることが、携帯キャリア間の競争を歪め るとともに、キャッシュバックによる顧客獲得が困難なMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)の新規参入・成長を阻害する点で問題になるとの意見も出ていました。

SIMフリーなら端末を買い換えずに携帯キャリア変更が可能
 実は、総務省では2010年6月に「SIMロック解除に関するガイドライン(http://www.soumu.go.jp/main_content /000072467.pdf)」を策定し、携帯キャリアによる主体的なSIMロック解除の実施を求めていました。しかし、取り組みの状況が限定的である ことから、義務化に踏み切る方針を打ち出したのです。今回は、携帯キャリアがSIMロックの解除を拒否した場合、電気通信事業法に基づく業務改善命令を出 せるような仕組みも検討するとのこと。これらはあくまでも中間取りまとめの段階ですが、具体策を詰めた上で2015年度にも実施される予定です。

 SIMロック解除が義務化されると、一般ユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。まず、現在はキャリアを変えるために端末まで買い換え る必要がありますが、SIMフリーなら端末を買い換えずにキャリア変更ができるようになります。現在のところ、各キャリアにおけるネットワーク品質やプラ ンの価格にほとんど差が見られませんが、総務省の狙いのひとつであるMVNOを含めた純粋な市場競争が進めば価格が下がり、端末はそのままでキャリアだけ 変えることにメリットが出てきそうです。また、旅行や出張などで海外へ行く際、SIMフリーであれば現地のSIMカードを挿すだけで使えるという特徴もあ ります。

各種割引制度がなくなる可能性など手放しでは喜べない事情も

 ただし、SIMロック解除の義務化は手放しで喜べるわけではありません。たとえば、前述のような端末の割賦代金支払額に相当する月額通信料金の割引や、 多額のキャッシュバックが提供されているのは、このSIMロックがあったからこそ。実際、SIMフリーが標準の海外諸国では当然ながらこうした割引制度が ないため、ユーザーは端末代金の全額を一括もしくは分割払いで購入しています。場合によっては、最新機種を購入すると従来よりも全体の価格が高くなる、と いった状況が出てくる可能性も否定できません。

 今までさまざまなプランを打ち出してきた日本の携帯キャリアですから、おそらくSIMロック解除の義務化が実施された後も、ユーザーを囲い込むために何 らかの策を講じてくるとは思います。しかし、それが実際どのような内容になるかは携帯キャリア次第。これを機にMVNOへ移行するのもひとつの手ですが、 まずは携帯キャリア各社の動きに注目したいところです。

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