「それはウイルスです」。大阪市内の自営業の40代女性は、銀行員の言葉に耳を疑った。パソコン(PC)にはウイルス対策ソフトを入れていたはず。なの
に、口座を確認すると見知らぬ女性名義の口座に196万円が振り込まれていた。個人情報を盗まれ、ネットバンキングに不正アクセスされたのだった。
6月11日朝。都市銀行のネットバンキングのサイトを開いた。「振込」を選ぶと、「誕生日」と「銀行から送られてきた乱数表」の数字を入力するよう求める画面が現れた。
「いつもと違う」。そう思ったが、PCにはウイルス対策ソフトが入れてある。「きっと不正アクセス対策でシステムが変わったんだ」と考え、求められた事項を入力した。
すると画面に「ただいま読み込み中です」とのメッセージが出現し、操作できなくなった。女性の口座から別の口座に不正送金されたのだった。
すぐさま銀行に連絡したため、不正送金先の口座を凍結でき、預金は戻った。だが、大阪府警が行った自分のPCの解析結果に驚いた。ウイルスだらけで、ウイルス対策ソフトが見当たらなかったからだ。
対策ソフト自体を消去するウイルスに感染した疑いがある。機械に不慣れで、セキュリティー対策は夫任せ、アップデートは「設定が変わってしまうかも」と怠りがちだった。ウイルスが入り込む隙があった。
不正アクセスの標的は現金に限らない。仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」(東京)が破綻した問題。同社は「不正アクセスでビットコインが引き出された」と主張し、警視庁は約16億円相当が不正に引き出されたとみて、本格捜査を始めた。
岐阜、兵庫両県警が昨年12月、通販サイト「楽天市場」に不正アクセスしたとして中国人2人を逮捕した事件では、買い物で得られるポイントが狙われた。
スマートフォンのゲーム「パズル&ドラゴンズ」では、「名人」の男性のIDを乗っ取った容疑で今年2月に大阪府警に書類送検された高校生2人は、「高いレベルで遊びたかった」と供述した。
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