ネット通販大手の米アマゾンが、いよいよ本格的に無人機のビジネス活用に乗り出します。7月に、配送に使う小型無人機の屋外試験飛行を米連邦航空局(FAA)に申請したと報じられています。
米国では、これまで軍や警察が中心であった無人機の利用を民間にも拡大しようという動きが活発になっています。すでにFAAは、アラスカにある油田設備
の監視に無人機を使うことを認めており、アマゾンの申請もこうした民間開放の流れに沿ったものといえます。FAAは市街地など危険性の高い地域での認可に
対しては慎重姿勢といわれています。アマゾンが目論見通りにサービスを開始できるのか分かりませんが、今後、こうした申請が増えてくることは間違いないで
しょう。
アマゾンが考えているのは、顧客の注文から30分以内に無人機で商品を届けるという斬新なサービスです。当初は富裕層やパーティ会場向けなど、高い配送料を気にしない利用者がターゲットになると考えられていますが、いずれは一般的な利用につなげたい意向です。
無人機は空間を飛行できるというのが最大の特徴ですから、基本的にはアマゾンのような宅配業務、あるいは各種の監視業務への利用が想定されています。しかし、民間用に無人機を本格的に開放した場合には、これ以外にも様々な用途が開拓されると考えられています。
レジャー用途として注目されているのが、スポーツの空撮サービスです。スノーボードやフリースタイルBMXなど、いわゆるエクストリーム・スポーツの競
技者を、無人機を使って空から撮影するというものです。無人機を使えば特殊なアングルからの撮影ができますから、アマチュアでもプロ競技者のようなカッコ
イイ写真を撮影することが可能となります。
すでに農業分野では農薬散布など、無人機の導入は進んでいますが、画像解析の機能を付け加えることで、よりきめ細かな作付状況の確認ができるようになる
でしょう。また不動産の分野では、物件の確認用などに大きなニーズがあるはずです。米国ではジャーナリズムの世界に無人機を活用しようという動きも見られ
ます。
こうした無人機の普及で気になるのはやはり安全性とプライバシーの問題です。フロリダでは、無人機が旅客機とニアミスするという事件が発生しています
し、軍用の話ではありますが、米軍はこれまで400件以上にのぼる無人機の墜落事故を起こしています。一方で、人工知能を使った無人機の自動操縦技術も急
速に進歩しているといわれています。グーグルのようなネット系インフラ企業が、無人機の管制や制御のサービスを提供してくるかもしれません。しかしなが
ら、プライバシーの問題はこうした技術では解決できないものです。このあたりについては国民的な合意形成のプロセスが必要となるでしょう。
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