iTunesのサービスが始まったのは2001年1月。もう13年以上前のことだが、同年秋に発売されたポータブルミュジーックプレーヤーのiPodの斬 新さと相まって、これがアップルの革新的イノベーションの始まりとなった。デバイスとインターネットとコンテンツを結びつけ、さらに1曲買いを可能にし て、音楽業界全体を揺るがすほどのインパクトを持っていたからだ。
アップルと音楽とは、そうした背景もあって分ち難い関係なのに、肝心のiTunes musicが下降していることは、否応にも時代の変遷を思わせる。実は、iTunes musicの売上は、2010年頃から伸び悩んでいた。2012年半ば頃から、iTunesサービスでの売上の最大のものは、音楽ではなくアプリになって いたほどだ。
● 「パンドラ」「スポティファイ」など ストリーミングサービスに押される
iTunes musicのようなダウンロード型サービスに取って代わっているのは、もちろんストリーミングサービスである。アメリカではスポティファイやパンドラとい うサービスがよく知られており、世界中では50近いサービスがある。現在音楽業界の売上の3分の1近くはストリーミングサービスによるもので、利用も1年 前から50%近くも増加しているという。
ダウンロード型とストリーミング型のサービスの違いは、まず楽曲を所有するかしないかだ。ダウンロードなら、自分のコレクションとして楽曲を貯め、好きな順番で聴いたり、さまざまなデバイスで家族とシェアして利用したりすることが可能。
一方ストリーミングは、楽曲を所有せず聴くために利用するサービス。無料と有料のサービスに分かれているのが一般的で、無料サービスでは時折広告が入 る。有料サービスでは、モバイルからデスクトップまで利用できるデバイスが多くなることも特徴だ。ラジオ風にランダムに聴くこともできれば、ジャンルを選 んで設定したり、あるいは好きな曲で自分のプレイリストも作ったりできる。その点は、所有しない楽曲でも、ダウンロード型とほぼ同じように操作できるのだ。
ただ、大きく異なるのは料金だろう。有料であってもストリーミングサービスの料金は月額10ドル程度が普通で、それで何百万とある楽曲が自由に聴けるのは魅力だ。
さらに、自分では知らなかった楽曲が、他のユーザーのお勧めによって知ることができる。ストリーミングサービスは、その手のソーシャルネットワークを シームレスに統合していることも特徴だろう。パンドラは、独自の音楽ゲノムプロジェクトによって、ユーザーが好みそうな楽曲を探し出してくるという機能も ある。
● U2の新作をiTunesユーザーに無料配布したが 「勝手に入れるな! 」の苦情が殺到
こうして、次から次へと新しい音楽を延々と楽しもうという方法は、1曲1曲サーチしてダウンロードするiTunes musicのモデルとは様変わりしているわけだ。その意味で、最近アップルは少々時代遅れな感覚を露出してしまった事件があった。
U2の新アルバム『Songs of Innocence』をiTunesのユーザーに無料でプレゼントするという大判振る舞いが、裏目に出たのだ。それは、9月初めに開催され、 iPhone6やアップルウォッチなどが発表されたイベントでアピールされた。U2が招かれ、そこで新アルバムが5億人のiTunesユーザーへの「フ リーギフト」として贈られることが伝えられた。
ところが、その後自分のデバイスに勝手に同アルバムの楽曲がダウンロードされていることに、多数のユーザーが苦情を表明。アップルは結局、アルバムを消去するツールをリリースしなければならなかったほどだ。
U2のメインボーカリストのボノも、「頼みもしなかったのに、自宅の冷蔵庫の中に勝手にミルクが入っていたようなもの。玄関先に届けるくらいが正しかった」と述べて、同社のここまでの過剰なマーケティングは知らなかったとしている。
さらに、自分では知らなかった楽曲が、他のユーザーのお勧めによって知ることができる。ストリーミングサービスは、その手のソーシャルネットワークを シームレスに統合していることも特徴だろう。パンドラは、独自の音楽ゲノムプロジェクトによって、ユーザーが好みそうな楽曲を探し出してくるという機能も ある。
● U2の新作をiTunesユーザーに無料配布したが 「勝手に入れるな! 」の苦情が殺到
こうして、次から次へと新しい音楽を延々と楽しもうという方法は、1曲1曲サーチしてダウンロードするiTunes musicのモデルとは様変わりしているわけだ。その意味で、最近アップルは少々時代遅れな感覚を露出してしまった事件があった。
U2の新アルバム『Songs of Innocence』をiTunesのユーザーに無料でプレゼントするという大判振る舞いが、裏目に出たのだ。それは、9月初めに開催され、 iPhone6やアップルウォッチなどが発表されたイベントでアピールされた。U2が招かれ、そこで新アルバムが5億人のiTunesユーザーへの「フ リーギフト」として贈られることが伝えられた。
ところが、その後自分のデバイスに勝手に同アルバムの楽曲がダウンロードされていることに、多数のユーザーが苦情を表明。アップルは結局、アルバムを消去するツールをリリースしなければならなかったほどだ。
U2のメインボーカリストのボノも、「頼みもしなかったのに、自宅の冷蔵庫の中に勝手にミルクが入っていたようなもの。玄関先に届けるくらいが正しかった」と述べて、同社のここまでの過剰なマーケティングは知らなかったとしている。
いずれにしても、最近のユーザーはもっと軽快な方法で音楽を楽しみたいと思っている。
スポティファイによると、同サービスのマルチデバイスのユーザーは毎日146分をいろいろなデバイスで音楽を楽しむために費やしているという。
よくスタートアップのオフィスに行くと、プログラマーらがヘッドフォンをしてコンピュータに向かっているが、彼らはほぼ1日中こうして音楽を聴いている のだろう。そうした時、ランダムに楽曲が流れてくるよう設定できたり、次々と新鮮な楽曲が選べたりするストリーミングサービスはより好まれるだろうと想像 できる。サービスによっては、オフラインでもある程度の楽曲を聴くことが可能だ。
● ストリーミングへの アップルの反抗策は?
しかし、アップルもこのままではない。
同社は今年5月、ミュージシャンのドクター・ドレらが経営するヘッドフォンとストリーミングサービスの会社、ビーツを30億ドルで買収することを発表した。
今までは別立てで運営されてきたビーツを、来年iTunesに統合する予定であるという。また、その際、現在月額10ドルの利用料を5ドルにまで値下げすることも検討されているようだ。こうなると、既存のストリーミングサービスとも真正面から競合する。
スポティファイでは、すでに家族サービス料金を発表し、有料ユーザーの家族は毎月5ドルで加入を可能にしている。家族は5人まで追加できる。かなりお得なプランだ。
インターネットの音楽サービスは、iTunes musicがバージョン1、ストリーミングサービスがバージョン2とすれば、現在バージョン2.5ほどの地点まで進化を遂げている。バージョン3で何が起こるのか。それを目にするのは、さほど先のことではないだろう。
スポティファイによると、同サービスのマルチデバイスのユーザーは毎日146分をいろいろなデバイスで音楽を楽しむために費やしているという。
よくスタートアップのオフィスに行くと、プログラマーらがヘッドフォンをしてコンピュータに向かっているが、彼らはほぼ1日中こうして音楽を聴いている のだろう。そうした時、ランダムに楽曲が流れてくるよう設定できたり、次々と新鮮な楽曲が選べたりするストリーミングサービスはより好まれるだろうと想像 できる。サービスによっては、オフラインでもある程度の楽曲を聴くことが可能だ。
● ストリーミングへの アップルの反抗策は?
しかし、アップルもこのままではない。
同社は今年5月、ミュージシャンのドクター・ドレらが経営するヘッドフォンとストリーミングサービスの会社、ビーツを30億ドルで買収することを発表した。
今までは別立てで運営されてきたビーツを、来年iTunesに統合する予定であるという。また、その際、現在月額10ドルの利用料を5ドルにまで値下げすることも検討されているようだ。こうなると、既存のストリーミングサービスとも真正面から競合する。
スポティファイでは、すでに家族サービス料金を発表し、有料ユーザーの家族は毎月5ドルで加入を可能にしている。家族は5人まで追加できる。かなりお得なプランだ。
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